文化・芸術

2023年11月26日 (日)

7という数について

以前こちらに、東西の占星術の共通点から12という数の特徴について書いたことがある。

で、今回は7という数について。
ただ今回は前回ほど突っ込んだ話ではない。7という数字をめぐってつらつらと綴って見ることにする。まあ雑談なので、気楽に読んでいただけるとありがたい。

まず「7」という数について多くの人が思い浮かべるのは「ラッキーセブン」ではないだろうか。「7」はラッキーナンバーである。ということで、縁起かつぎをしている人もいるかも知れない。なぜ「7」がラッキーなのか?どうも野球のアメリカ大リーグがその由来であるらしい。あるチームが優勝がかかった7回に打った凡フライが、たまたま風に乗ってホームランになった。おっとラッキー!ということでラッキーセブンになったとか。他にも7回に逆転劇が起こりやすいとか、そんなことでラッキーセブンと言うようになったらしい。

次に、こちらに来ていただく方なら思い浮かべるのは「七曜」であろう。
これには大きく2つの意味があって、ひとつは古代の天文学(占星術)によるもの。つまり、望遠鏡が開発される以前に肉眼で観測された、水星、金星、火星、木星、土星の5つの惑星と太陽、月を加えた7つの星のこと(7惑星)である。
もうひとつはカレンダーの、日、月、火、水、木、金、土の1週間の曜日のこと。

曜日については諸説あるが、この7惑星を日に当てはめたということのようだ。旧約聖書には、神は6日で天地を作り7日目はお休みになられた、という記述があって、それで7日目は安息日ということで、日曜日は休日になっている。と言うことで、曜日の七曜については西洋由来と考えてよいだろう。我が国で一般に浸透したのは明治以降、新暦を採用したことによるが、七葉そのものはすでに平安時代に中国から、当時の暦法や天文学とともに入ってきている。

では「7」という数字に関するものは全て西洋由来なのかというと、どうもそうだとも思われない。
例えば、我が国では「七福神」とか「七草粥」や「七夕」がある。中国から伝わったものだが「竹林の七賢人」なんかもある。亡くなった人を供養する法要も、初七日から四十九日まで、七日ごとに行われる。「七つの海」とか「親の七光」とか「世界七不思議」「七つ道具」「色の白いは七難隠す」なんて言い回しもある。

なぜ用の東西を問わず、7という数に特別な意味(感覚)を持たせるのだろう。7は素数であり、1か7かしか割り切れない。なので前に12という数字を考えたような数字の持つ構造的な特性によるものではなさそうだ。

ある研究によると、人間が日常生活で瞬時に記憶できる情報は7個程度、個人差を入れてもせいぜい5〜9個なのだそうだ。だから7はひとまとまりとして感じられ、脳が「全てそろった」と感じるのだそうな。つまり7は「多い」「たくさん」「網羅した」と感じる数なのである。確かに七つ道具も七つの海も、道義が七つあるのではなく、たくさんの全部の道具、世界中の海、といった意味で使われているようである。

7という数が色々なところで使われるのは、人間の認知機能の特質によるものなのかも知れない。

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2015年5月 1日 (金)

ワルプルギスの夜(魔女の秘密展)

今宵はワルプルギスの夜だから。。

というわけではないが、昨日、大阪天保山の大阪文化会館でやっている「魔女の秘密展」に行ってきた。まあ、詳しくはこちらをご覧いただきたいのだが。。

魔女の秘密展と言っても、実際の魔女術の講義や魔女術の実践が展示されているわけではなく、文化史的な観点からの博物館展示である。

なんでも、2009年にドイツ・プファルツ歴史博物館が企画開催した展示をもとに、新たに企画した特別展なのだそうで、当博物館の他、ドイツ、オーストリア、フランス、リヒテンシュタインの各美術館、博物館所蔵の作品が展示されている、ということである。

入館すると、最初の小部屋ではスクリーン(液晶パネル)に、中世ヨーロッパの住民に扮した解説者とその時代の人々が映し出され、解説がはじまる。いあ、今の博物館って大変だなあ。TDLやUSJばりのアミューズメントな要素も取り入れなくちゃいけない。過去の遺物を並べてるだけではいかんのだなあ、と妙に感心してしまった。

こぶりな展示会である。展示されているものも大規模な展示にくらべれば少ないが、それでも現物の迫力は十分に味わえる。古代中世の、手書きのギリシア文字の写本を見ると(マンドラゴラの書物だったがw)、ビブリオマニアの血が騒ぐ。

なかでも「魔女の鉄槌」の原本には見入ってしまった。有名な(悪名高い?)魔女の鉄槌。二次資料三次資料で目にし耳にしてきた書物であるが、実物を見たのははじめてである。もちろん読めるわけもないが、見ているだけでゾクゾクする。博物館に行く醍醐味はこれであろう。直接実物と対峙し、それからインスパイアされる。

展示は工夫して三部構成になっており、人によってはその文化史的解釈に違和感を感じる人もいるかもしれない。しかし、僕はそんなことは気にしない。自分なりの解釈で展示物を楽しむのだ。


その日、隣の海遊館ホールで鏡リュウジ氏の講演会があったので行って来た。

魔女や魔女術の話、その中で季節の関連の話をされた。キリスト教以前のヨーロッパの慣習がキリスト教に取り込まれる中で、クリスマスやイースターやハロウィーンなどの祝祭日が生まれたとは、よく聞くところであるが、氏のご講義の中で目から鱗だったのは、北半球でも中緯度に住む我々日本人よりも、高緯度に住むイギリス人やドイツ人は、はるかに日照時間の変化を感じているというお話だ。なるほど。僕は残念ながら数週間単位で中国大陸と北米大陸に旅行した経験しかないのだが、高緯度帯の土地に住んでみると、夏は日本よりもはるかに日は長く、冬は日本よりもはるかに日は短く感じるのだろう。冬至から夏至に至るまでの、そしてまた夏至から冬至に戻るまでの太陽の力の変化は、われわれ日本人よりもはるかに強く感じているのではないか。そういったものが古代からの記憶に残っているのだろう。

東洋の二十四節気と西洋の獣帯十二星座。太陽の消長という同じ原理を用いて作られた暦(つまり純粋太陽暦)であるが、ヨーロッパの民の方がより強烈に太陽の消長を実感し、いろいろな祝祭日が行われていたのであろう。とはいえ(講義の中で鏡氏も指摘されていたが)我々日本人も冬至には柚子湯につかりカボチャを食べ、春分秋分の日であるお彼岸には墓参りをしておはぎを食べたりする。(関西の一部地域では夏至の日に蛸を食べるそうである。)

易の「復」卦は冬至の卦とされ、一陽来復とされる。冬至を境に長くなる日の光を待ち望んでいた様子が伺える。いや、現代の日本に住む我々も、冬の寒い時期は「冬来たりなば春遠からじ」と春の訪れを心待ちにしているか。


また、お話の中で、英語のMidsummerは夏至のことであると説明された。シェイクスピアの有名な戯曲A Midsummer Night's Dreamは「真夏の夜の夢」と訳されるが、正確には夏至の夜の夢である、とのこと。イギリスの夏至の頃は梅雨もなく、ほんとにすばらしくいい気候の季節なんですよ、と。日本で真夏と言えば盛夏8月。なので、そんな暑くて寝苦しい夜の夢を思っていたよ(^^;; そうか、そういうことだったのか。他国の文化や思想を理解するためには、その土地に行き、その地理気候を肌で感じなくちゃいかんよなあ、と、あらためて思った。

講義の中で、9つの結び目のおまじないをみんなでやりましょう、というワークもあった。僕は、いい本が書けますように、そしてその本が売れますように、と願いながら緑の紐に9つの結び目をつけた。って、そんなおなじないする暇に頑張って本を書けばいいのだが。。


昨日の展示会はきわめて文化史的なものであったが、鏡氏の講演は、現代に生きている魔女のことを紹介するものであった。
ちなみに、僕もこんなことをやっているおかげで、リアル魔女の知人もいる。彼女たちから日頃聞いていることを思い出しながらここまで書いて来たら、イケムラレイコの「地平線へと向かう少女たち」という詩の一節が頭に浮かんだ。


少女たちよ、大地に触れなさい
からだを横たえると
こちらの世界とあのよを
いききできるのです




帰り際に、
真っ黒な服を着てジジのぬいぐるみを手に持った
キキになりきった小さな女の子が
お父さんに手を引かれて
展覧会に向かって行くのを見た。

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2013年8月21日 (水)

恋するフォーチュンクッキー

AKB48の新曲で、フォーチュンクッキーのことが歌われている。

以前FFORTUNEでも話題に上ったことがあるが、なんでもアメリカの中華料理店では、食事が終わった後にフォーチュンクッキーなるものが出されるのだそうな。これは何かと言うと、クッキーを食べると中から占いの文句が書かれた紙が出て来て(いわば御神籤ですな)、吉凶を示すというもの。

でも、昔シカゴの中華料理店で食事したときは、そんなの出て来なかったぞ。ああそうか、ジャージャー麺と麻婆豆腐と青椒肉絲を単品で頼んだから出てこなかったのか。コースを頼まんといかんかったんかな。

で、むかし日本の中華料理店でも何でもない普通のレストランで出会ったことがある。確かに占いの札(?)というか紙切れがクッキーに焼きこんであった。なかなか面白い。ということでちょっと調べてみた。

なんとこのフォーチュンクッキー、考案者は日本人なのだそうな。そのむかし、アメリカで日本庭園の茶屋をやっていた日本人が、御神籤入りの煎餅(ジャパニーズクッキー)をお茶請けとして出したことろから広まったんだそうな。ううむまさに御神籤。

まあ御神籤の吉凶はともかく、彼女達が歌ってるように、幸運を呼ぶには笑顔が大事である。この曲が流行ったら、あちこちの店でフォーチュンクッキーを出すようになるんかな?

しかし、さしこがセンターとわなあ。。ww

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2013年8月13日 (火)

お盆と七夕と

日本の多くの地域では、今日からお盆。
地獄の釜のふたが開いて、ご先祖の御精霊が戻って来る日なのだそうな。

一方、旧暦では今日は7月7日。七夕である。

さきほどコンビニからの帰り道、やたら月が鮮やかに見えた。
本来の七夕は梅雨ではなく、天の川や月が綺麗に見える季節だったのだな、などと思いながら、しかし昔の七夕はこんなにも暑い時期の風習だったのだろうか、と。いや、昨今の暑さはもう異常ですな。どうか皆さん、御身お大事になさってください。

ということで、旧暦では今年の後半(下半年)に突入する。小限に、後半に効く良い星が入ってる人は、これからひと頑張り。後半に残念な星が入ってる人は、気を引き締めて。それぞれ今年の後半戦、頑張りましょう。

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