« 欠点を使いこなす(ココ・シャネル) | トップページ | 東洋占術シンポジウム(お知らせ) »

2016年5月 5日 (木)

暗号解読

はるか遠い昔のことである。僕がまだ紅顔の美少年(ん?)だった頃の話。僕が通っていた小学校の図書館に、子供向けにリライトされたシャーロック・ホームズ全集が揃えられていた。なにげなく一冊を借りて読んでみたら、その面白いこと、すっかりホームズに夢中になってしまった。中でも「踊る人形」という一編が記憶に残っている。

ご存知の方も多いであろう。子供の落書きのような、いろいろな姿勢をした人形が紙に書かれていて、それがこの事件のキーとなる。どうも暗号らしい。僕も、その人形の姿に意味があるのだろうと、いろいろ推理してみるが、どうしても解けない。小説を読み進め、そのホームズの推理と解読に舌を巻いた。

同じ時期、市民図書館で「象形文字入門」という本を見付け、借りて読んでみた。誰も読めなかった古代エジプトの象形文字が解読されていく様子を、わくわくしながら読んだ。そうかロゼッタ・ストーンが鍵になったのか。しかしヤングもシャンポリオンも凄いなあ。

以上は少年時代熱中した暗号解読譚なのであるが、思うに我々占い師が日々やっていることも、ある意味暗号解読や古代の象形文字の解読みたいなものだと思うのである。

これはたとえ話であるが(実際にそんな神サマがいるのかどうか僕は知らない)、占いの神サマは、なぜか、というか残念ながら、「日本語」では語ってくれない。その占いの言葉で語ってくれるのである。たとえば紫微斗数の神サマは、日本語ではなく紫微斗数語で語ってくれるのである(易の神サマは易語で、占星術の神サマは占星術後で語ってくれる)。でもこれが悩ましい。神サマが「この男はなあ、えらい医者の家系に産まれて、自分も医者になるんやけど、でも躁鬱病でなあ、家族を振り回しよんねん。」とちゃんと日本語で語ってくれれば、こんなにラクなことはない。でも、それを全部「〜〜宮に××星があって、宮と宮、星と星の関係は**」という紫微斗数語で語ってくれるのである。だから我々は、この紫微斗数語を解読して日本語に翻訳しなくてはいけない。さらにホームズ物語の暗号や古代の象形文字と違い、この紫微斗数語は「表意文字」でも「表音文字」でもない。強いて言うなれば「象徴言語」である。だから、暗号や古代文字の解読と言うよりは、夢分析や芸術作品の解釈に似ているようなところがある。

こんなことを思ったのも、先月、東京の(僕が主催する)紫微斗数研究会で、こんな出来事があったからだ。僕の研究会では、ひととおり紫微斗数の基礎を学んだ方々が、その応用力をつけるため、実際の命盤をみんなで読むという実践練習をやっている(他にもより高度な技法の検証実験などもやっているが)。先月も、いつものように一枚の命盤を会員諸氏に見せ、「さて、この人はどんな人でしょう?」とクイズを出してみた。

いろいろな意見が出たが、ひとりの弟子が福徳宮に着目し

「福徳が貪狼・火星ですよねー。火貪格。なんか精神が不安定そう。」

と言った。僕はそれを受け、

「いいところに気がついた。火貪格は横発・横破(突然の発展と突然の破滅)を表す。福徳宮すなわち精神の坐が火貪格ということは、精神に大きな波があることを表していると読める。そう、この人は躁鬱病だったんだ。」

この例題に出した人は北杜夫氏。斎藤茂吉のご子息にして、医師でありまた作家でもある。そして自身躁鬱病であることを語り、躁状態のときに大きな借金を作ったことでも有名である。福徳宮の対宮は財帛宮。なるほど。

北杜夫氏の命盤を読み解きながら思ったことは、紫微斗数の神サマは「北杜夫さんは躁鬱病やってんでー。」と日本語で語るところを、精一杯紫微斗数語で、それを福徳火貪格と表現したのではないか、ということである。なるほどそうか、うまく語ったなあ、と思ったのである。とは言え、福徳に火貪格を持っている人をみな躁鬱病と判断したのでは、はずしまくるだろう。単に怒りっぽいとか、気分屋、という人もいるに違いない。ここが象徴言語を読み解く難しさである。

研究会の最後に、この命盤は北杜夫氏の命盤だよ、と種明かしをしたのであるが、上述の弟子を含め、若い会員の方4名が、北杜夫??誰ですかその人?であった。

ああすみません、若い人は知らんのだよなあ、僕がおじさんだった悪かった。次は君たちも知ってる若い人を例題にするからねえ。ということで、次回は実践演習はさておいて、徐曽生の忌星棋譜を紐解いてみようか。


そんな感じで東京、関西、福岡で研究会を毎月やっている。基本的に、過去に僕の講義を受け紫微斗数の基礎をマスターし、さらに紫微斗数をより深く研鑽したいという人が対象である。関西は長く休止していたが、今月から再開することになった。過去の受講生でメールアドレスがわかっている方にはメールで案内させていただいたが、それ以外でも参加ご希望の方がおられれば、ご一報願いたい。また、関西のみならず、東京、福岡でも毎月やっているので、参加条件を満たしご興味のある方はご一報いただきたい。案内を差し上げたいと思う。


【追記】

ご一報いただきたい、などと書きましたが、送り先がわからないと一報のしようもないですよね(^^; コメントのメールアドレス欄に、ご自身のメールアドレスをご記入のうえ、ひとことコメントください。その際、書いていただいたメールアドレスは僕のみが参照でき、こちらには公開されない仕様となっていますので、ご安心ください。ご記入いただいたメールアドレス宛に、後ほど個別にメールさせていただきます。

|

« 欠点を使いこなす(ココ・シャネル) | トップページ | 東洋占術シンポジウム(お知らせ) »

占術一般」カテゴリの記事

紫微斗数」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1282267/65314421

この記事へのトラックバック一覧です: 暗号解読:

« 欠点を使いこなす(ココ・シャネル) | トップページ | 東洋占術シンポジウム(お知らせ) »