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2016年1月24日 (日)

人相見の達人(「私の履歴書」から)

日経新聞の朝刊に「私の履歴書」というコラムがある。朝刊に毎日連載されているもので、功成り名遂げた人士が自分の来し方を振り返った半生記といった体の、いわば短い自叙伝である。新聞の性格上、ビジネス・実業の分野での名士が多いが、その他にも文化人やスポーツ選手なども名を連ね、なかなかに多士済々である。

紫微斗数という命占を研究しているので、ある人がどういった人生の軌跡を送ったのかということに、大変興味がある。自伝であるし限られた紙面であるので、カットされたエピソードも多いであろうが、人生というものを考えるのに大いに参考になる。これでそれらの方々の生年月日時が掲載されていれば言うことはないが、そこまでは望めない。僕が記憶する限り、生年月日時まで記述された方は、淀川長治氏と加山雄三氏のみである。

毎月回り持ちで筆者が変わるのであるが、先月のライターは、大丸の社長を経て現J.フロントリテイリング相談役の奥田務氏であった。大変興味深く拝読させていただいたが、その中にひとつ占い師の興味をそそるエピソードがあった。

氏がまだ中学生の頃、学校から帰宅途中のことである。「ある雨空の日、帰宅途中の電車の中で私の顔をジロジロ見ている初老の男性がいて近づいてきた。目の前で止まると『わしは人相を見るのが得意なんや。あんたは出世する相を持っている。このことを覚えときや』。そう言うと離れていった。不思議な時間。ただ、出世という意味はわかっていなかった。」(日本経済新聞2015.12.06朝刊32面)

確かに氏はその後大会社の社長となり、こうして日経新聞の「私の履歴書」に名を連ねる。間違いなく大出世した人である。この初老の男性の人相は的中した。彼はプロの人相見だったのだろうか。それともアマチュアの占いマニアだったのだろうか。いずれにせよ相当の腕前であると言わざるを得ない。彼が見て、よほど顕著な出世の相が出ていたのだろう。電車の中で見ず知らずの少年に、思わずそう言ってしまうほどに。

小説や映画や漫画の世界では、街頭の易者が道行く人を呼び止めて「おぬしにはただならぬ凶相が出ておる。なに見料はいらん。ちょっとこっちに来てよく見せなさい。。」なんて話はよく聞くのであるが、現実にもこういうことがあるのだなあ。

その初老の男性、奥田少年の顔のどこをどう見て出世間違いなしと判断したのだろう?

気になる。


【蛇足】

その後、奥田少年は大学を卒業し大丸に入社する。新入社員となった氏が配属されたのが大丸京都店。そこでは京都という土地柄もあって、扇千景さんや中村玉緒さん、学者先生など関西の知名人もお客さんとしていらしたそうだ。そんなある日のこと。「ご主人が海外出張に行かれるとのことで旅行カバンをお探しの和服姿の女性がいた。当時、最新のスーツケースにはダイヤル式の暗証番号が付いていて、使い方を説明すると『いやー、こんな複雑なのはうちの主人にわかるかしら』と後ろを振り向かれた。そこにいらしたのはニコニコしてやり取りを聞いておられたノーベル物理学者の湯川秀樹博士だった。」(日本経済新聞2015.12.11朝刊44面)

奥田氏、文章もなかなかうまい。

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