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2015年5月 1日 (金)

ワルプルギスの夜(魔女の秘密展)

今宵はワルプルギスの夜だから。。

というわけではないが、昨日、大阪天保山の大阪文化会館でやっている「魔女の秘密展」に行ってきた。まあ、詳しくはこちらをご覧いただきたいのだが。。

魔女の秘密展と言っても、実際の魔女術の講義や魔女術の実践が展示されているわけではなく、文化史的な観点からの博物館展示である。

なんでも、2009年にドイツ・プファルツ歴史博物館が企画開催した展示をもとに、新たに企画した特別展なのだそうで、当博物館の他、ドイツ、オーストリア、フランス、リヒテンシュタインの各美術館、博物館所蔵の作品が展示されている、ということである。

入館すると、最初の小部屋ではスクリーン(液晶パネル)に、中世ヨーロッパの住民に扮した解説者とその時代の人々が映し出され、解説がはじまる。いあ、今の博物館って大変だなあ。TDLやUSJばりのアミューズメントな要素も取り入れなくちゃいけない。過去の遺物を並べてるだけではいかんのだなあ、と妙に感心してしまった。

こぶりな展示会である。展示されているものも大規模な展示にくらべれば少ないが、それでも現物の迫力は十分に味わえる。古代中世の、手書きのギリシア文字の写本を見ると(マンドラゴラの書物だったがw)、ビブリオマニアの血が騒ぐ。

なかでも「魔女の鉄槌」の原本には見入ってしまった。有名な(悪名高い?)魔女の鉄槌。二次資料三次資料で目にし耳にしてきた書物であるが、実物を見たのははじめてである。もちろん読めるわけもないが、見ているだけでゾクゾクする。博物館に行く醍醐味はこれであろう。直接実物と対峙し、それからインスパイアされる。

展示は工夫して三部構成になっており、人によってはその文化史的解釈に違和感を感じる人もいるかもしれない。しかし、僕はそんなことは気にしない。自分なりの解釈で展示物を楽しむのだ。


その日、隣の海遊館ホールで鏡リュウジ氏の講演会があったので行って来た。

魔女や魔女術の話、その中で季節の関連の話をされた。キリスト教以前のヨーロッパの慣習がキリスト教に取り込まれる中で、クリスマスやイースターやハロウィーンなどの祝祭日が生まれたとは、よく聞くところであるが、氏のご講義の中で目から鱗だったのは、北半球でも中緯度に住む我々日本人よりも、高緯度に住むイギリス人やドイツ人は、はるかに日照時間の変化を感じているというお話だ。なるほど。僕は残念ながら数週間単位で中国大陸と北米大陸に旅行した経験しかないのだが、高緯度帯の土地に住んでみると、夏は日本よりもはるかに日は長く、冬は日本よりもはるかに日は短く感じるのだろう。冬至から夏至に至るまでの、そしてまた夏至から冬至に戻るまでの太陽の力の変化は、われわれ日本人よりもはるかに強く感じているのではないか。そういったものが古代からの記憶に残っているのだろう。

東洋の二十四節気と西洋の獣帯十二星座。太陽の消長という同じ原理を用いて作られた暦(つまり純粋太陽暦)であるが、ヨーロッパの民の方がより強烈に太陽の消長を実感し、いろいろな祝祭日が行われていたのであろう。とはいえ(講義の中で鏡氏も指摘されていたが)我々日本人も冬至には柚子湯につかりカボチャを食べ、春分秋分の日であるお彼岸には墓参りをしておはぎを食べたりする。(関西の一部地域では夏至の日に蛸を食べるそうである。)

易の「復」卦は冬至の卦とされ、一陽来復とされる。冬至を境に長くなる日の光を待ち望んでいた様子が伺える。いや、現代の日本に住む我々も、冬の寒い時期は「冬来たりなば春遠からじ」と春の訪れを心待ちにしているか。


また、お話の中で、英語のMidsummerは夏至のことであると説明された。シェイクスピアの有名な戯曲A Midsummer Night's Dreamは「真夏の夜の夢」と訳されるが、正確には夏至の夜の夢である、とのこと。イギリスの夏至の頃は梅雨もなく、ほんとにすばらしくいい気候の季節なんですよ、と。日本で真夏と言えば盛夏8月。なので、そんな暑くて寝苦しい夜の夢を思っていたよ(^^;; そうか、そういうことだったのか。他国の文化や思想を理解するためには、その土地に行き、その地理気候を肌で感じなくちゃいかんよなあ、と、あらためて思った。

講義の中で、9つの結び目のおまじないをみんなでやりましょう、というワークもあった。僕は、いい本が書けますように、そしてその本が売れますように、と願いながら緑の紐に9つの結び目をつけた。って、そんなおなじないする暇に頑張って本を書けばいいのだが。。


昨日の展示会はきわめて文化史的なものであったが、鏡氏の講演は、現代に生きている魔女のことを紹介するものであった。
ちなみに、僕もこんなことをやっているおかげで、リアル魔女の知人もいる。彼女たちから日頃聞いていることを思い出しながらここまで書いて来たら、イケムラレイコの「地平線へと向かう少女たち」という詩の一節が頭に浮かんだ。


少女たちよ、大地に触れなさい
からだを横たえると
こちらの世界とあのよを
いききできるのです




帰り際に、
真っ黒な服を着てジジのぬいぐるみを手に持った
キキになりきった小さな女の子が
お父さんに手を引かれて
展覧会に向かって行くのを見た。

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