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2012年2月26日 (日)

勝負占

昨年末、私の紫微斗数教室で、紫微卜占の講義をしたときのことである。私の講座の常として、ひととおり占法の解説と実例解説を終えたあと、受講者から実際にお題をいただいて紫微卜占で占ってみる、という実践講義を行っている。

講師と紫微卜占の実力が問われる、講師にとってある意味まことに厳しい課題だが、占術は真剣勝負、ということで臨んでいる。

いつものように受講生の方からお題を募ったところ、サッカーのクラブカップの勝敗、というお題を頂戴した。バルセロナが勝つかサントスが勝つか。げ!勝負占かよ。

通常の占いと違って、勝負占は明確に答えが出る。つまり、当たりと外れがこれほどはっきりするものはない。これほど占者の実力が露呈してしまうものはない。今、占術は真剣勝負などと格好のいいことを言ったが、これはまいった。もう次回からこの講義方式はやめようかな。練習なんだもん真剣勝負でなくてもいいや。

いずれにせよ、言ってしまった以上後には引けない。まずは占的の明確化と筮前の審事。
私はサッカーには疎く、また昭和のおやぢなので、サッカーと言うとペレやベッケンバウアーの名前くらいしか頭に浮かんでこない。問占者に聞いてみたところ、今(昨年12月)サッカーのクラブカップというものをやっていて、参加国の代表チーム同士が対戦する、ワールドカップとはまた違ったものだとのこと。で、問占者はスペインの「バルセロナ」を応援しているのだが、決勝でブラジルの「サントス」と当たる。サントスは強豪で、さらにバルセロナの有力選手が怪我で出場できないとのこと。自分としてはバルセロナを応援しているので、なんとか買って欲しいのだが心配だ、とのこと。この審事では、どう聞いてもサントス優勢である。これだけで判断すれば、サントスが勝つんでしょうなあ、なんだけれども、それでは占いにならない。

その時刻で紫微斗数卜占盤を組んでみる。
命宮【最強】、遷移【最強】、官禄【強】

え?めっちゃええやん。
バルセロなええやん。
サントス優勢ということなんだけど。。
ええい、バルセロナの勝ち!

ああ、言っちゃった。
外れたらどうしよう。。

それから家に帰って、TVの番組表を確認した。明日決勝戦サントスvsバルセロナのオンエアがある。普段はサッカーなど見ない私であるが、このときばかりはドキドキもんでTVにかじりついてしまった。前半、バルセロナが得点する。ちょっと安心。でも心臓バクバクで試合を見守る。結果、4-0でバルセロナがサントスを下した。

ふぅ〜〜。やれやれ。
なんとかパウル君に負けずにすんだよ。

でもよく考えたらこれって、二分の一の確率、50%で当たるんだよね。ブログでえらそーに的占例として書くほどのこともない。実は本題はここから。

卜占において、このような勝負占は、占った時点ではまだ決定していない、未来の事態を予測するものである。一方、尋人占や失物占などは、占った時点でその対象はどこかに存在している。その既に事実として存在している場所を占うのである。いまだ決定していない未来を予測するのとは異なる。ただ、尋ね人なり失せ物が「現れるか?」という問いであれば、これから先のことを占うといった要素も加味されるが。少なくとも、その対象物が存在しなくなっていれば(人であれば死んでいる、物であれば破壊されている)、いくら待っていても現れない。その時点で「現れない」という未来も決定している。

さて、既に決定している事実(尋ね人なり失せ物がどこにあるのか、どういった状態であるのか)を見る占いと、まだ決定していない未来を見る占いと、そこにはいささか意味の違いがあるように思うのである。確かにどちらも問占者にとって「未知」の事実であるという点では、同じ意味を持つのではあるが。

今、決定していない未来と言ったが、運命学のひとつの考え方に、未来はすべて決定している、というものがある。所謂宿命論的決定論である。ある人の生年月日時のデータで、その人の未来も含めあらゆることが読めるということは、人は生まれたときにすでにその全ての人生が決定しているということである。その人のありとあらゆること、どんな仕事をして、いつどんな人と出会って恋に落ち、どんな子供が生まれ、いつどこで死ぬか、すべて百発百中当てられるというのであれば、そのすべてが既に決定しているということなのである。

一方で、開運法というものがある。ある行為なり動作をすることで運命の流れを変え幸運になるという。運命の流れを変えることができるということは、未来は決定してないということである(決定していないから変更もできる)。したがってこの2つ、「開運法」と「宿命論的決定論」は同時には存在できない。互いに矛盾するものである。

はたして未来は決定しているのか、決定していないのか。

門外漢なので的外れなところがあったり、間違っていたらごめんなさい。物理学の世界でも、宇宙のはじまりビッグバンの瞬間の粒子の状態と運動の状態が計測できれば、理論的に宇宙のすべて、その終末に至るまで計算できる、という考え方もあるらしい。その論で言えば、宇宙のはじまりの時に終末までの未来が決定しているということである。それに対して、いやいや20世紀の素粒子論では素粒子の状態は確率でしか言えないので、その論は成り立たない、という人もいるらしい。また、計算するったって、東京タワーのてっぺんから落とした紙切れがどこに着地するのか、今もって人類にはその計算する術がないのだ、という人もいるらしい。

何がなんだからわからなくなってきた。

私は、考えてもわからないことは考えないことにしている。
だって考えてもしょうがないんだもん。
で、自分の経験的感覚で生きるのである。

未来のすべての事象が既に決定しているのかどうか、わからない。わからないが、私の経験的感覚によれば、未来は一切決定していないと思えるのである。では、なんで私は占いなんぞやっているのだろうか?

百発百中の「予知」(決定している未来を読む、と言ってもいい)をするのでなく、精度の高い「予測」をするのである。決定した未来を告げるのではなく、起きるであろう事象の可能性と事象発生の確からしさを予測するのである。実際占いをやっていると、その人のある程度の方向性、いつ幸運期が舞い込み、いつ凶運に見舞われるか、どんなことが起きるのか、おおよその方向性は読み取ることができるし、だいたい的中する。しかし細かい事象については直前にならないとわからない場合が多い。あるいはいくつかの可能性のなかのひとつとなるか、あるいは予想どおりにはならないか、そんな感じである。

占いをやっていると、と書いたが、なにも占い師でなくても、人間普通に生きていればこれは誰でもがやっていることではないだろうか?未来は決定されていないと仮定し、しかしそれを予測するという行為は。

朝、まだ眠いのに目覚ましが鳴る。昨今のように寒いと布団から出るのが嫌になる。ましてや昨晩飲み過ぎて二日酔いならなおさらだ。う〜ん、どうしようかなあ、いいや、もう今日は会社サボっちゃえ。てなことで会社に、今日はちょっと風邪気味で熱がありましてぇ、とかなんとか電話を入れる。

これが1日2日ならまだいいだろうが、何回も続くとどうなるか?会社での評価は当然下がる。悪くすれば降格降給、最悪はクビになって路頭に迷う。人はその事態を予測する。そうなりたくないので、眠い目をこすりながら頑張って出勤していくのである。

占い師でなくても、他人の未来・将来を予測することができる。
とんでもなく酒癖の悪い酔っぱらいの男がいたとしよう。この男、昼間酒を飲まなければ、温厚で真面目に仕事をする男なのだが、一杯酒を飲むともうだめである。「一杯だけ、一杯だけ行こう。」というのが彼の口癖であるが、一杯で済んだためしがない。一杯の酒が二杯三杯となり、はしご酒。一緒に飲んでいた同僚が、もういいかげん帰ろうと言っても、うるさい、まだ早いわ、と聞く耳を持たない。また昼間の温厚な態度とうって変わって、猛虎に豹変する。上司に悪態をつくのはもちろん、その場で上司に土下座させたり、暴力事件は起こさないものの、山手線を止めたり酒場のホステスに絡んだり、そんな武勇伝に事欠かない。あげくの果てに、連れには置き去りにされ、駅のベンチで夜を明かす。財布をスラれたことも一度や二度ではない。

この男を見て、なにも占うまでもなく誰でもが、このままだと人生棒にふるよね、と予測する。そのうち大きな問題を起こして会社をクビになるか、肝硬変を煩うか高血圧から脳卒中になって倒れるか、あるいはアルコール依存症で入院させられるか、泥酔して交通事故にあうか、まあロクな人生ではない。で、恐らく十中八九その予測は的中する。

(ちょっと話がずれるが、この男の開運法は「酒をやめること」あるいは「酒に飲まれないこと」である。それができれば、この先もまっとうな人生を送ることができる。できなければ大方の予想のとおり破滅的な人生を送る。これも占い師でなくても誰でもが託宣できることである。)

極端な例を上げたが、実は私がやっている将来の予測も本質的には同じである。占いで得た卦(象徴)をそれに加味して使っているだけである。その人(あるいは状況)をつぶさに観察し紫微斗数の命盤を見る。すると今のままではこの人はこういう人生の軌跡を送るだろうということが「予測」できる。

百発百中、将来を「予知」することはできない。だから勝負占は外すこともあるのよ。と言えば、占い師の開き直りのようなオチだが、未来は決定していないという仮説からは、そう言わざるを得ない。しかし、「予測」の可能性の精度を高めることはできる。占い師としては、百発百中を目指し、日々精進するのみである。

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