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2010年3月26日 (金)

巨星墜つ!

私は実際に鮑先生に師事したというのでもなく、ことさら親しくお付き合いさせていただいたわけではないが、先生から受けた影響ははなはだ大きく、私なりの思い出を綴ることで追悼のメッセージとさせていただきたい。

22日、今週の月曜日の夜、ふと携帯を見ると着信メッセージがある。旧い術友のG氏からである。最近すっかりご無沙汰しているので、いったい何かと思い留守録を再生させてみると。。

「今朝方、鮑先生が亡くなられたとT先生からメールがあったので、取り急ぎ紫微斗数関係の人に連絡します。」とのこと。
あわててG氏に電話する。着信に気づかなかったことをわび、久しぶりに聞く元気な声に安心するとともに、お互い先生の急な訃報に驚き、あまりにも早すぎる逝去を惜しみ合った。

もう30年以上も昔のこと、私がまだ高校生の時分である。地元の図書館で文研出販から出版された「中国正統五術占い全書」という書物を見つけ、手に取った。それが私と紫微斗数との出会いであった。

続いて大阪梅田の百貨店の書籍コーナーで「東洋占星術」(これは古籍「紫薇闡秘録」に透派十三代掌門である張耀文氏が評註をほどこした「紫薇闡秘録評註」を訳したものだということである)を購入した。

はじめて見る占術、それも中国の占星術というものに驚き興奮し、ワクワクしながら読み進んだ。しかし、占術の体系は理解できたものの、実際に自分 のことも他人のことも占断できるまでにはいたらなかった。今思えば、古籍のキーワードだけをたよりに人の命運を読み解く柔軟性も知見も経験も、当時の私に はなかったのである。その後香草社から何冊か紫薇斗数の書籍を買い求め読んでみたが、同様であった。紫微斗数に興味を持ちつつも近づけない。そんな状態が 何年も続いた。

そんな中、1980年にごま書房から鮑黎明先生の「紫微斗数推命術」が出版された。そこには、とてもわかりやすくこなれた表現で紫微斗数の諸星曜 の解説が述べられていた。試しに自分の命盤を組んでみると、驚くほど的確に、自分の性格、思考の傾向、嗜好、趣味などを言い当てられた。こんなに当たる占 術があるのか!私は紫微斗数にのめりこんでいった。

続いて1982年に東洋書院から鮑黎明先生の「飛星紫微斗数闡秘」が出版された。紫微斗数の概論、各論、鑑命法が実に深く詳細に述べられている。 この書により、いかに私の斗数の知見が高められたことか。今も手放せず、常に座右に置いてある。今もって、これを超える斗数研究書は現れていないと思う。 不朽の名著と言ってよい。絶版になってしまったのは、まことに残念である。

年は下り、1996年に私は当時の浅学非才を顧みず、Nifty-Serve FFORTUNE(占いフォーラム)において紫微斗数勉強会オフを開催した。ひとえに紫微斗数(という素晴らしい術)を広め、仲間を増やしたかったのであ る。そのときにテキストとして書き下ろしたのが、現在私のサイトにて公開している「紫微斗数入門」である。

勉強会がはじまってしばらくすると、術友のG氏がひとりの男性を伴って現れた。すぐに誰だかわかった。鮑黎明先生であった。まさか紫微斗数の大御所が、こんなアマチュアの勉強会に来ていただけるなんて。

それからの私の講義は、いきなり教頭先生の授業視察にあった新米教師のようなものであった。めちゃくちゃ緊張した。

まあなんとか講義を終え、講義後に予定していた参加者同士の懇親会に先生をお誘いすると、気軽に参加していただけることになった。こんな気さくな 先生だとは思わなかった。また、こんな元気な方だとも思わなかった。懇親会では鮑先生は、よく飲み、よく食べ、よく語っていただいた。私は勉強会直前まで のテキスト執筆と当日の講義の緊張とで疲労困憊、燃え尽きてしまっていたので、宴席は一次会のみで失礼させていただいたのだが、後で聞くところによれば、 先生は残ったメンバーと場所を変え、一晩中盛り上がっていたそうな。

私が次に先生にお会いしたのは、8年間の東京勤務を終え、関西に帰る直前だった。都内某所にていろいろ話をし、私の移転の方角日時まで見ていただいた。

鮑先生と直にお目にかかったのはその2回だけなのであるが、先生の著作からは実に多くのものを学ばせていただいた。

あまりにも早すぎる逝去であった。占術家として、研究者として、まさに今からがアブラの乗ってくる年代であった。先生の逝去が、斯学界における大きな損失であると思うのは決して私だけではあるまい。

鮑黎明先生のご逝去を悼むとともに、心からご冥福をお祈りする。

                    合掌

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